第一話「カゴメ」

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3時間後。 遠山キョウコはホームセンターの前で走るのをやめた。 そしてなぜか私とまっつんのみになっていた。 そういえばコージーは体力がなく、運動が大の苦手だということをすっかり忘れてた、20分後に見かけなくなったような気がした、まぁ脱落したのだろう、南無。 それによりまっつんの挙動不審が際立ったが、幸運な事に遠山キョウコに不審がられる事もなく尾行はできた。 ホームセンターの中に入り、買い物カートを手にする、どうやら買い物を兼ねてのマラソンだったようだ。 私はまっつんにコージー捜索を(まっつんセンサーは異常)頼み、一人買い物カゴを手にして店内にはいる、隠れる場所が沢山あるし、なによりコージーが泡吹いて倒れてないかちょっと心配だったからだ。 しばらく物色している、まぁなんて事はない、ごく普通の買い物だ。 …そこまでは。 懐から紙を取り出し、いそいそと入り口付近にあったティッシュ箱を10セット、カートにキレイに積んだ。 すごい量を買い貯める、たしか遠山家は夫婦と娘の三人なはずなのに、花粉症か何かなのだろうか? そのまま迷う事なくある陳列棚にカートを進める。 そして長方形の箱のようなものを勢いよくカートにいれる、さっきまで品目の少ない寂しいカートだったのに、今やティッシュ箱と長方形の箱で山盛りとなっている。 遠山キョウコが居なくなった隙を見て長方形の箱がある場所にむかった。 なにやらカラフルな箱のようだ。 「ふむ、スキンだな」 唐突に声のした方向を向く、まっつんにおんぶされているコージーだ。 「スキン?なんそれ?」 当時は汚れの知らないウブな少年だった。 「ふむ、コンドームだよ…避妊用具だ」 汚された。 「これが?なんで?」 「ふむ…わからんな、1人で使うには量が多過ぎる…それにティッシュの数もありえん話だ…どれだけ花粉に…」 何かが閃いた。 「…なんか俺、とんでもねー事思ってるんだが」 「ふむ、奇遇だな…私もある仮説が組み上がったところだ」 「だけどまだ予測の内だかんなぁ…まぁもうしばらく調べるとしようかね…まぁとにかく、かなり重要な手がかり掴んだなぁ」 まだ憶測の域、それが正しいだなんていえやしない、だけど遠山キョウコにはある一つの大きな秘密があることがわかった。 んーんー 「ぁふんっ」
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