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歩く。
青空の下街角を臆す事無く、何かしらな目的も無くただ闇雲に。
訳なんてない、自分自身でわかったような下らない理由の為に、下らない時間調整。
当時私、この青臭い学生服をまともに着ようとせず、黒いロングコートを羽織り、それに似合わない発色をしたベースボールキャップを後ろに被った学生、三崎シンは常に暇だった。
普通の学生ならば、学校にて退屈な時間をただ椅子に座って耐える。
しかし当時の私はそれよりも、抜け出して意味もなく歩く事を選んだ。
まぁ…いわゆる落ちこぼれだった。
ある神社に足を止める。
何度もいうが目的はない、いつもなく歩いていたら同じ考え、なのかどうなのかわからないが仲間ができた。
境内に入ったと同時にある人に目が付いた。
金髪に短ラン、ボンタンという出で立ち、縁日で買ったであろう安い色グラスごしに私をみるや否や、にやりとする、こんな近寄りづらいオーラを出す奴なんて、直ぐに目が付く。
参拝しにきた人がみたら十中八苦目を逸らすだろう、無論本人もそれをわかっていてたじろぐ姿を見て優越感に浸るのだろう。
毎度みる顔な為かやや呆れ気味にいう、まぁ、大概こういう口調だったかもしれない。
「よう、不良少年のカシくんさんよ、元気かね」
にやりとしたまま、空気が凍りつく。
変な緊迫感は彼の返答で、
「ぉぱよーさん、シンくんさんよぉ、ってか縁側のじいさんみたいなセリフかよ」
ぱっと打ち解けた。
なにげない挨拶は私にとっては結構嬉しい。
私と同じ学校に通うこの金髪リーゼント「自称情報通」カシこと柏原イクヒサは典型的なヤンキーだ、ケンカはからっきしダメだけど。
そんな一人縁日、カシが珍しく一人でいた、意外に
「珍しいな、他の奴らは?」
とついつい聞いてしまった。
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