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「ひまだなぁカシくんさんよ」
「あー…とりあえずスカイホークでだべるべよ、シンくんさんよ」
毎回同じセリフを呟く、まぁ事実なにもする事なく楽しい事が無いもんかと思っていたけども。
「あー……」
「カシさんよ、ちゃんと言いたい事ありゃ言え」
「あー、いや、そういや近くの団地で飛び降りあったって」
「へー、物騒だな、死んだん?」
「即死だってさー、物騒ですなぁ」
「まったくですなぁ」
カシはなんでかいつもこういう情報を持っている。
人脈が広いというか、なんというか。
当時はケータイはおろか、インターネットでさえ普及していなかった時代だった、だから情報を仕入れるのは並み大抵の事ではなかった、もちろん今と同じく……いや、むしろ大体は話に尾鰭がつき、現実離れしたガセ情報が蔓延していた。
その自称情報通のカシはというと……まぁあまり信用に足るものはなかった。
現に某女子校にすごいサセ子(フリーセックス愛好者)のがいると吐き、リューがナンパを試みたがまぁ、確かにモアイ顔ですごい、しかも親が警察官で大変な目にあったり、
また北京原人一家がいるという事も吐き、見に行ったが明らかに原人で爆笑、しかしその後リューが原人娘に拉致られたり、
またある時は世紀末救世主が隣町のデパートに現れたと吐き、探してみたが明らかにゲイだった為リューを囮にして逃げたり。
カシの情報は大方外してはいない、だが決まって私たちに被害(ほぼリューだが)がでる。
ガセではないだけまだマシな方なのかもしれないけど。
「スカイホーク行く前によ、ちと自殺の現場行ってみね?」
私の何げなくいった言葉に意味は無い。
現場はここからちょっと近かった事もあるのだが、やる事が無いのと、違った空気に触れたかったのと、現実をみたかったのであろう、と、今思う。
「普通に花束あるだけじゃねー?まぁやるこたねーからいってみんべー」
カシはいつもノリが良いから助かった、まぁ本人からしたら情報が事実かどうかを見定めたかっただけかもしれないが。
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