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自殺した女学生はトモの同窓生である、ショートカットで色白なとても大人しい子だったらしい。
まぁ、悪い言い方をすると影が薄い、イジメの対象者としてはうってつけだったという訳だ。
ということは死んだ原因、おのずと判る。
「イジメ、カッコ悪い」
ボソッといったがトモはイヤに耳が良い。
「それがねー……イジメちゃうんよー」
否定するのはわからなくはない。
イジメている本人はあくまで遊びとしてしか認識しないものだから。
「またまたそんなこと言っちゃって、実をいうt」
しかし思わぬ形で否定される。
「シンクンサンよ」
「え?なんだよ、
てかさっきからややこしいなその呼び方なカシクンサンよ」
「実は話には続きがあってな、どうやらイジメはなかったらしいのさ」
「は?じゃあなんで飛び降りたん?」
「はぁ、…それがわからねーから情報が出回ってんだっつの、わかってりゃ出回る所か無かった事になってるっつの」
当時は自殺自体が珍しく、今みたいに問題視されなかった、マスコミでちらほら提言されてたが為、大抵の場合はイジメを苦に、という先入観があった。
「だからアタシ達も死んだ子のママに聞きに来たんよー、メグがどうしても自殺したワケ知りたいってさ、聞かなくてさ、しょうがないからみんなでがっこーフケてね、そしたらアンタ達が」
「居たと」
「うにゅ」
メグという女性は三つ編みの、これまた影の薄い女性だった。
しかしその目は自殺を信じない、その信念が宿っていたのが分かった。
まぁ当時は目付き悪い奴だなという感じで見ていたのだろうが。
この時ちょっと楽しくなっている自分がいた、不謹慎だが何か落ちた現場のなんとも言い難い違和感、そして自殺を否定する女学生、影でなにか陰謀が目に見えない形であるという期待が先行していたのかもしれない。
無論、同行しない訳がなかった。
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