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宮城の反応に顔をしかめていれば、うちの膝小僧を叩く者がいた。
視線を下にとやれば、小さいくせにふてぶてしく胡座をかき座っている一寸法師がうちを見上げている。
「一刀両断っていっても、武器はあるのか?」
おおっと。
武器の心配をしていましたか。
「そこのぬかりはないぜ」
ニヤリと笑い見せて袖の中に手を突っ込み、一寸法師の武器なるものを取り出す。
「じゃじゃ~ん!!
効果音付きで自信満々に取り出したそれは、神話とかに出てくるような神々しい武器に匹敵するもんだぜ!!
その武器の名は……
「つ、爪楊枝じゃねえか!?」
イエス!!
どこのどの角度から見ても素敵な爪楊枝です!!
「一寸法師といえば武器は爪楊枝でしょ!!」
「あのゴリラ女といいこのゴリラ女といい……俺を何だと思ってんだ……」
「一寸法師!!」
「俺は一寸法師じゃねぇっ!!
宗っつう立派でかっこいい名前が付いてんだよ!!」
「じゃあいざいかん鬼退治!!」
「無視かぁぁぁ!!!!」
「哀れ宗……」
男の友情!! てやつだろうか。
意気揚々と、鼻息荒く立ち上がったうちの足元では、畳に伏した一寸法師こと宗を宮城が哀れみの表情で慰めている。
そんな輝く光景に涙腺を刺激されるが、これから始まるのは戦争だ!!
ここでなよなよしていたらいかん!!
「宗隊員!! 宮城隊員!! 出動ぅぅぅ!!!!」
襖をすぱーんと開き、声高らかに部屋を飛び出した。
「声でかすぎてバレるだろ……」
「マジ……帰りてぇ……」
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