鬼退治!!……いえ、鬼畜退治です。

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そして一番可能性の高い、鬼の部屋をそぉー……っと覗いてみれば……。 「いた!!」 ついに発見しましたよ!! 奇兵隊屯所に住まう、鬼が!! 「やっと鬼が現れたか!? 一丁ぱぱっと退治してきてやらぁっ!!」 「待って!! ここは作戦通りにいくから!!」 「は!? あ!? マジあれでいくのかよ!? 死にたくねえし!!」 「大丈夫大丈夫!! 宗が何とかしてくれるから!!」 「おう!!」 「一寸しかねえくせに……」 宗は鬼退治する気満々のようで、廊下の床の上で得意気に胸を張ってる。 宮城は疑わしそうにそれを見ているけど……。 鬼を目の前に四の五の言っている場合ではない!! 震える手を襖にかけると…… 「先生ぃぃぃ!!!!」 騒ぎ役の藍川直突入ぅぅぅ!!!! 「何?」 うっはぁ……こっちに見向きもせずに、文机の上に広げた書物を見たままだ。 そして黒い着流しの背中から、不機嫌オーラが漂ってるのは……気のせいだ気のせい!! 鬼……先生におっかなびっくりしながらも部屋に足を踏み入れ、先生の近くに寄って座ってみる。 「な、何してるんですか!?」 「…………」 「いやぁ~、今日も暑いですねぇ」 「…………」 「あ!! 先生の肩に蚊がぶしぃっ!!!?」 「潰したから平気だよ」 その潰したの……蚊じゃなくて……うちですよ、先生。 先生の気を引く為に話しかけ、肩に蚊がいますよと言いかければ、容赦ない張り手が飛んできた。 おかげでうちは畳の上に転がるはめに……。 流石鬼というべきか……。 一筋縄じゃいきませんぜ。
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