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「うっ……うう……」
嗚咽が止まりません。
「もぅ……嫁に……嫁に行けない……」
涙も止まりません。
目から止まることを知らない溢れ続ける涙は、どぼどぼと音をたてて畳に落ちていく。
うちの影を落とした畳に。
涙を拭いたいのだけど、両腕は一ミリたりとも動かないこの状態。
藍川直は只今現在……天井から吊されておりますぅっ!!
先生に逆襲を受けたうちは、どこからか取り出した縄でぐるぐる巻きにされると、天井の柱に縄を通されて、ぷら~んと宙吊りにされたのです。
女としてあるまじき姿と、改めて教えられた先生の恐ろしさに、涙が止まりましぇん……。
「さて。これは何か説明してもらおうか?」
座布団の上に座っている先生がつまみ上げているものは、意識を飛ばしたままの宗であり。
「いや、実は……」
先生に説明をしているのは……。
「う、裏切り者ぉぉぉ!! 宮城の裏切り者っ!!」
仲間を見捨てた宮城彦輔!!
唯一自由が利く両足をばたつかせて宮城に抗議しようと泣き叫んだはいいが……。
「煩いよ」
「だぁっ!?」
先生によって投げられた宝剣・爪楊枝が、額にぶっ刺さりました。
熱い何かが一筋額から溢れて鼻筋を通るのを感じ、がっくーんと頭垂れる。
絶望から。
深い絶望を感じていれば、何故こうなったのかを宮城が説明している声が聞こえて……。
「へぇ。生意気にも俺を退治しようと企てたんだ。反乱の芽は摘まないといけないね」
次いで、地の底からの声が聞こえ……。
ああ……うちの人生終わったなぁ。
と、悲観せずにおられない。
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