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「でもその前に……」
うちの存命延びる予感!?
目を輝かせながら勢いよく顔を上げれば、先生がつまみ上げた宗をしげしげと見ていた。
「これはどうしようか」
宗は明らかに普通の人間じゃない……んだと思う。
一寸の身長しかない人間なんているわけないんだし。
先生はつまみ上げた宗の頬を手の平で二、三度軽く叩いた。
そうすれば宗の顔は歪み、ゆっくりゆっくりと瞼が上がっていく。
「キミ。何なわ」
「鬼畜ぅぅぅ!!!!」
宗ぅぅぅ!!
その反応と言葉は正しいけど、今はそれが命取りになるからぁぁぁ!!
意識を戻した宗は先生を見るなり悲鳴に近い驚愕の声をあげたけど、その言葉を聞いたうちの心臓は驚きから跳ねたよ!!
鬼は鬼でも鬼畜だけど、それを本人に言うのは……ヤバくね?
「鬼畜、ねぇ。生意気な口は削ぎ落とすのと焼き潰すの、どっちがいい? 選択肢はキミにあげるから選びなよ」
「どっちも口がなくなるじゃねぇか!? いい加減、俺を元の場所に戻してくれぇぇぇ!!」
「キミは……違う場所から来たわけ? ふぅん……」
手足をばたつかせた宗を見ながら、先生は顎に手を当て何かを考え始める。
そしてしばし考えること数分。
先生は何かを思いついたのか、背筋をぴんと伸ばし座る宮城の方を見た。
「小槌」
「は……え?」
「一寸法師には確か小槌が出てくるでしょ? 小槌で叩けば何か変わるかもしれないし」
「え、ああ……はい!!」
宮城は慌てて部屋から飛び出して行った。
しっかし小槌って……身長を戻す為……じゃなかったっけ?
元にいた場所に帰す道具じゃなかったような……?
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