鬼退治!!……いえ、鬼畜退治です。

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「ふぅん。良く出来た幻……だったわけね」 「あれ? 宗は?」 「消えたよ」 …………え? き、消えた? 先生と宮城の会話に恐る恐る目を開ければ……。 惨殺現場もなく、宗の姿も……なくなっていた。 え? ま、まじで宗という存在はリアルな……幻だった……わけ? 「宗……」 数時間とはいえ一緒にいて、騒ぎ合った宗。 その姿が忽然となくなり、更には幻だなんて言われると……寂しくなった。 宗の温もりは確かにあったし、声を交わし合ったのに。 宗という存在が幻だっただなんて、なんか嫌だ。 「先生!! 縄解いてください!! 宗を探しに行きます!! もしかしたら逃げてそこら辺にいるかもしれないし!!」 「直……」 「宗は幻なんかじゃないですもん!! 宮城だって宗といたんだから分かるだろ!? 宗は実際にいたって!!」 トンカチを振り下ろした際に宗はとっさに逃げてそこら辺にきっといるんだ!! そんな宗を探したくて懇願すれば、先生は長い溜め息を吐いた。 そしてついっと宮城を切れ長の目で捉えると 「退きなよ」 退室を促した。 宮城は困惑の顔で先生を見、次にうちを見上げた。 眉を垂れるとうちから目を逸らし……ゆっくりと部屋から出て行ってしまう。 先生と二人だけになった部屋はしーんとした静寂に包まれ。 宗がいなくなった。 そんな虚無感から脱力していれば、先生が立ち上がった気配を感じる。 そして 「まったくキミは……」 呆れた声を聞くと共に、縛られていた圧迫感が……消えた。
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