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代わりにあるのは、しっかりとした浮遊感。
そして
「せ、先生っ!!!?」
先生の顔が近いぃぃぃ!?
視線を気持ちちょいとだけ上げればそこには先生の妖艶に整った横顔があって……。
もしかしてこれはもしかしなくても……先生にお姫様抱っこされてる!?
乙女の夢のシチュエーションを先生にやられちゃってる!?
でも何故こうなった!?
頭を混乱させていれば、先生はさっきまで座っていた座布団の上に再び座り直した。
膝の上にうちを座らせたまま。
でも先生の膝に座っているなど何と命知らずな行為!!
慌てて膝の上から退こうとしたけど
「今はおとなしくしてなよ」
動き封じ発言んんん!?
先生の膝の上に座らされたまま、逃げ出せないことに極度の緊張に襲われ。
更には額に先生の大きな手が回ってきて、頭の後ろを先生の胸にと寄りかからされて……。
先生の体温と、頬に触れてくる先生の髪に、心臓が爆発しそうだ。
熱を顔に集中させていれば額にあった手はそっと下りてきて、うちの目は先生の手に覆われた。
一気に真っ暗になる視界。
「目、瞑りなよ」
低い声が頭上から落ちてき、ぴくりと体を小さく跳ねさせながらも……。
緊張の中、目を閉じる。
「あの一寸法師が幻だろうが幻じゃなかろうが俺には関係ない。でもキミにとってそれが関係あるなら……目を閉じればいい。
キミは自分で言ったよね? 目を閉じればいつでも会える、と」
……あ。
それは……千鶴さんを……亡くなった人にいつでも会える方法。
うちが先生に教えた方法を言われて……。
ぼんやりと……でも徐々にはっきりと、宗の姿が浮かび上がる。
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