四天王の思い出

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「誰だっ!? 誰が俺を川ん中に突き落としやがった!?」 むせが収まった晋作は、川辺で立ち上がるや否や、ぎらぎらとした目を塾生に向けながら煩いぐらいに吠える。 命の危険に晒されたからか、晋作の形相は普段と違い鬼気迫るものがあり、皆は一斉に晋作から目を逸らした。 「名乗りあげねェなら一人ずつぶっ潰ゥゥゥす!! まずは俊輔死ねェェェ!!」 「ええええ!? 何で俺になんのさぁっ!?」 「てめェが一番弱っちィからだよ!!」 「それ酷いっ!! う、うわっ!? やめ……」 晋作に狙われた俊輔。 塾生の中でも細身でいつも晋作にいいように扱われている俊輔は、晋作に捕まり川にと投げられた。 着物を着たままだというのが悪かったのか、俊輔の姿はあっという間に川の中だ。 「おっしゃァァァ!! 次は誰が逝くか!?」 ああ、次はキミの番だよ。 背後に松陰先生が立っているのにまるで気づいていない馬鹿な晋作。 そして次の瞬間には 「暴力は反対です」 「どばはァっ!!!!」 後ろから殴られ飛ばされ、川にと落ちてしまった。 川には屍が二体浮くことになったけど、俺にはどうでもいいことだ。 騒々しい場所から目を反らすと、岩の上に腰を下ろし、涼やかに流れる水面を眺めた。
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