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「で? 何でこの畳は血濡れになってんだよ?」
剥がした血濡れの畳をうちと松助さん一枚ずつ抱えて、それを井戸の側にと運んでいれば、松助さんは当然な疑問を口にしてくれた。
その疑問に、畳を塀に立て掛けながらうちはふっと遠い目をして、凄惨だった現場を目撃したあの恐怖を語
「まぁどうせよ、稔麿が晋作や桂さんあたりを殺ったんだろ? んで、九一や玄瑞あたりがそれを処分した……ってぇところか?」
らせてくれよぉぉぉ!!!!
語る前に松助さんにどんぴしゃな憶測をたてられてしまい、しかもそれは見事に当てはまってんじゃないかぁぁぁ!!
あんたエスパーですか!?
エスパーとしか思えないんだけど!!
「何気色悪ぃ面で見てんだよ?」
「あはは。気色悪いはお互い様ですよ。うちは顔やばしで、松助さんは中身やばしですもんね。これって五十歩百歩ぉぉぉ!!!!」
「ついに頭もいかれやがったか!? 益々女からかけ離れてんじゃねぇか!!」
あ。
頭のどこかで戦いのゴングが高らかにカーン! と鳴り響いた気がする。
だって松助の野郎は、うちのような女らしい女を目の前にしておきながら、失礼丸出しな発言をするんだもの。
くわりと目を見開いて、松助さんに飛びかかった。
「てめえも虚勢手術の実験体にしてやらぁぁぁ!!」
と、叫びながら。
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