鬼退治!!……いえ、鬼畜退治です。

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「何だよあれ? おい、あれが何だ……て、気色悪っ!?」 「うふふ……。うふふ……。ついに積年の恨みを晴らす絶好の機会がやってき……気色悪いって言うなぁぁぁ!!」 「は!? あ!? 気色悪いから気色悪いって……ぅえぷっ……や、やめ!! ぐ……は……は、く!!」 「吐け!! いっそ盛大に吐いて、その整った面をゲロでぐっちょぐっちょにしやがれ!!」 宮城この野郎ぅぅぅ!! か弱くて可憐な乙女に気色悪いなど暴言を吐きやがって!! 散歩に無理矢理突き合わせた宮城の両肩を掴み、がっくんがっくん揺らしたよ!! そうすれば宮城の中性的に整った顔は肌色から青色に変色し、手を離せば、宮城は砂の上にしゃがみ込んだ。 ふん。 ざま~みろってんだ。 「……で。ありゃ何なんだよ?」 しばらくすれば、体がっくんがっくんの酔いから復活した宮城がふらつき立ち上がりながら、波打ち際で未だ一人盛り上がっている一寸法師を指差した。 うちもあれが何なのかは知らないけど……。 「一寸法師だ!!」 うん。それだけは言えるぜ!! 「は? あ? 一寸法師って……おとぎ話の? 確かに小さいけどよぉ……」 「ふふふ。あの一寸法師にお願いして、屯所に住み着いた鬼を退治してもらうんだよ」 「鬼?」 「吉田稔麿という名の鬼をな」 「な!? お前何馬鹿なこと考えてんだよ!?」 驚愕する宮城。 馬鹿なこと? 全然馬鹿じゃないぜ。 一寸法師は鬼退治をするのだから、波打ち際にいる一寸法師も鬼を見事退治してくれるに違いない!! そうしたらうちも非情な鬼から解放されるんだ!!
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