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「この一寸の背丈!! 僧の姿!! 顔は険しいが……それを差し引いてもまさに!!」
あ、あのぅ……正一郎さん?
「本の世界にしかいないと思われていた一寸法師!! まさか実際していたなんて!!」
こ、興奮……し過ぎじゃないっすか?
「これは是非とも宴を開いて、一寸法師の登場を盛大に行わないと!! 広間にお通ししよう!!」
「それはあかぁぁぁん!!」
「がふぅっ!?」
広間に通しちゃったら鬼に見つかっちまうからぁぁぁ!!
興奮した正一郎さんを止める為に、意気揚々と建物の方にと歩き出した正一郎さんの背中にタックル食らわせましたからね!!
そしたらぐぎぃっ!! と何とも嫌な音が聞こえたような聞こえなかったような……。
まぁとりあえず!!
正一郎さんの細い体は後ろに反って……あ、地面に倒れたまま動かなくなってしまった。
…………。
「きゃぁぁぁ!? 正一郎さん大丈夫っすか!?
おのれ宮城!! 正一郎さんの後ろから攻撃を仕掛けるとは何とも卑怯な!! 武士の風上にもおけない卑劣さだ!!」
「は!? 俺に罪なすりつけようとすんじゃねえよ!!」
ちっ。
おとなしく罪を被ってくれればいいものの……。
うちの女優ばりの罪なすりつけ演技は宮城に通じなかったようだ。
しかしこのままピクリともしなくなった正一郎さんの側にいれば……
奇兵隊屯所の住み着き女中が白石正一郎を殺害!!
刑執行内容は……残首!!
に、なりかねなぁぁぁい!!!?
それだけは嫌だ!!
まだ人生の酸いも甘いもも中途半端にしか経験していない、乙女真っ盛りの時期で命を終えるなんて絶対に嫌だ!!
だとしたら!! 生きる為に取る行動は一つ!!
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