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「俺……知らねえからな」
「ふふ。目撃者も共犯だからもう手遅れだぜ」
「もうこいつ……付き合うの疲れた……」
「やめてよ宮城ったら!! うちと宮城は恋仲じゃないわよ!!」
「あー……誰か、代わって……」
がっくーんと頭垂れてうなだれる宮城と、腰に手を当てぷりぷりと怒るうちは、現在裏庭。
裏庭に生えた立派な木の幹にいるのは……。
縄でぐるぐる巻きに縛られ白目を向き、魂が晴天に吸い込まれたまま身動き一つしない、白石正一郎さん。
そうです。
正一郎さんを幹に縛りプレイにして、うちは姿を消し、犯人枠から逃れるのです!!
例え犯人だとバレたとしても、宮城という共犯がいるから、宮城に罪をなすりつければうまくいく筈だ!!
女は女優だ!!
女優なんだ!!
いざというときは舞台女優ばりの演技を披露してやんぜ!!
そんな魂胆を内心計画し、拳を高らかに空にと突き上げていれば……。
「く、くるしっ……」
「ぎゃぁぁぁ!!!!」
一寸法師がその拳の中にいたぁぁぁ!!!!
正一郎さんのように魂を口から半分程飛び出させている一寸法師を慌てて胸元にと引き寄せたよ!!
「握り潰したのかよ?」
「縁起でもないこと言うな!!」
開いた手の中を覗き込んでくる宮城につっこみながら、一寸法師の無事を確認。
息は絶え絶えだが……生きているようだ。
ほっ……。
鬼退治を断念しなくてすむよ。
一寸法師の無事に安心から胸を撫で下ろした。
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