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一寸法師が無事なのを確認して、作戦会議の為と、正一郎さん殺が……違う違う。正一郎さん縛り放置プレイの犯人枠から逃れる為に、こそこそとある部屋に移動した。
その部屋は普段客間として使われている部屋で。
客人がいない今、ただの空き部屋と化しているこの部屋は、屯所に住む鬼が来る確率は滅法低い。
襖も窓も締め切り、夏特有のむしむしした暑さは我慢しながら宮城と向かい合って座り、その間に一寸法師を無理矢理座らせると……。
「作戦会議の始まりです」
さぁ鬼退治第一歩といきましょうか。
神妙な面持ちで人差し指を立てて見せるが
「何でもいいから早く済ませて俺を自由にしてくれ……」
暗く沈んでいる一寸法師。
「あっちぃー……。女中なら水羊羹の一つは用意しろよ」
ぶつくさ文句を言う宮城。
一寸法師には元気を与える為に喝を入れてやりたいし、文句を言う宮城には拳を入れてやりたいが……。
いちいち取り合っていたら一向に話は進まない。
「まず!! 鬼の気を引く為にうちが鬼の前で騒ぎます。
そして鬼がうちに気を引かれてる間に……宮城!!」
「何だよ?」
「後ろから鬼を羽交い締めにするんだ」
「は!? あ!? 俺、死亡決定の役かよ!? ふざけんな!! 俺を騒ぐ役にしろ!!」
「動きを封じた隙に」
「無視すんな!!」
「一寸法師が鬼を一刀両断!! そしてめでたしめでたし……」
「めでたしじゃねぇぇぇ!! 俺が一刀両断されるわ!!」
身を乗り出し唾を吐き散らす宮城。
きったないし煩いんだけど。
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