ふうたい

2/2
前へ
/12ページ
次へ
飲食店のバイト先に計量機? 量りがある。 それには三つのボタン? スイッチがある。 「オン」と「オフ」と、 そして「風袋(ふうたい)」 最近まで「かざぶくろ」だと 思い込んでいたけど、それは今いい。 風袋とは、 本当に読んで字の如くな機能で、 例えばボウルを単体で量りに乗せて 400グラムと表示されたとして、 そのとき風袋のスイッチを押すことで 0グラムに改変することができる。 この利点は、 その後ボウルに入れた素材それだけの 重さを量れるという点にある。 ボウルを無質量な風の袋に変えるのだ。 僕は仕事中ながらも 物思いにふけった。 孤独。 孤立。 独りぼっちを感じたことのある人は 結構多いはずで。 でも独りぼっちなんて そんなにいないはずで。 よく歌の詞で「君は一人じゃない」 とか聞くけど、聞き飽きたけど、 う~ん。 孤独を感じながら、家族はいる。 それは矛盾が成立してると思う。 友達はいるけど、もっと欲しい。 もっと質の良い友達が欲しい。 独りじゃないのに、 一人じゃないのに、 どうして寂しい淋しい。 どうして既にいる友達や家族を 数えないんだよ僕はどうして。 あと何回、 あのスイッチを押して、 僕は生きていくんだよ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加