mission0 ―奴の手から逃れよ―

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魚人みたいな顔の男は、ゆっくりとこちらに向かってくる。 いや、めんどくせえ。「お前魚人でいいや」 「んだとコラー!」 しまったああああ! いつもの悪い癖で口にしてしまった。 やばいよお……本気できれてるよお…… どうする。 どうする! どうするよおれえええ! 選択肢。 逃げる。 戦う。 平和的解決。 …… …… …… 「おい。今度はシカト始めて何様だ?」 「な、なんでありますか! ぼくちんはただいま格ゲーに夢中なのであります。邪魔しないのであります」 「いや、さっき俺の女の胸見てやがっただろ」 「何言ってるでありますか! ぼくちん3次元に興味ないであります! ぼくの嫁はこのゲームの剛炎寺 鈴ことりんたんだけであります! りんたんの必殺技、後光極神拳の時にゆれる大波のようなおっぱいはハァハァするであります!」 「ずらかってんじゃねえよ。二次元野郎」 魚人が俺の胸ぐらを掴んで地上から足を離した。 「し、しいやせん! 嘘ついてごめんなしゃい! で、でも胸なんて見てないんです!」 「じゃあ、何見てたんだ?」 俺はここで言葉に詰まった。そして、今更ながら後悔している。 どうして逃げなかったのか。どうして逃げなかったのか。どうして逃げなかったのか。 なぜ、オタクのフリをしたのだと。
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