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教室に着いて、先陣切ってガラッと扉を開けると……予想通り知ってる顔ばかり並んでいた。
やっぱり、俺の未来のハニーちゃん候補なんておるワケないよな……。
はぁ、と溜息をこぼしながら、黒板に書かれていた自分の席につこうと歩き始めた俺。
目的の方向へと視線を向けた瞬間──、
時間と心臓が止まったかと思った。
窓際に座っているその人物に、目を奪われてしまう。
陽光の下にいるのが不自然なくらい、白く透き通った肌。
煌めきを放つ艶やかな黒髪。
長い睫毛に縁取られた意思の強そうな吊り気味の目、それにぷるんと潤いのある唇が印象的な美形。
はかなげで、しとやかで………
着流しが似合いそうな、涼しげな和風美人。
……いや、男物の制服を身に付けているとこからして相手は俺と同じ男。美人って形容するのはおかしいのかもしれん。
せやけど、んなことはどうでも良くなるぐらいのドストライク!
生まれて初めて感じる、息苦しいくらいの胸のトキメキ。
こんなに綺麗な奴、初めて見た……っ!
(俺のハニーちゃん候補、発見っっ!!)
そいつを初めて見た時、俺は一目で恋に落ちた。
俺が窓際の1番後ろで、そいつが俺の前の席。
席が前後だなんて、なんちゅう幸運なんや!
これはもう運命としかいいようがない。
俺の捜し求めてたハニーちゃんは、絶対にこいつや!!
……あーあかん、一刻も早く話しかけたい。
どんな声で、どんな表情で返事してくれるんやろ。
ドキドキする……!
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