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『そろそろ…出ようか』
そう言う彼に付いて
カラオケBOXを出た。
言葉少なに
ホテル街を歩いてゆく。
一件のホテルに入った。
『心配しないでね。何もしないから。ただ寝るだけ』
ホテルの部屋のドアに手をかけながら
一瞬止まり.私の目を見つめそう言った。
部屋に入ると
ダブルベッドに少し大きめのソファ-.
テーブルにテレビ.ミニ冷蔵庫が備え付けられていた。
2人で冷蔵庫に入ってたお酒をあける。
彼の故郷の話になった。
彼は島根県出身の長男で
東京に出てきて働きながら
実家に仕送りしてると言う。
実家には両親と.歳の離れたまだ学生の弟がいるらしい。
『仕送りなんて…大変ね』
『あっちはあまり仕事もないし。結構俺みたく東京に出てきて働いてるヤツも多いんだ』
『そうなの』
『親父が数年前に癌になって……年齢も年寄りだから働けないし.母親も体が丈夫じゃないからね。俺が稼がないと…』
見た目じゃわからない
彼の苦労を垣間見た気がした。
『私なんて…大学出て少しだけ働いて…すぐに彼と結婚したから何も苦労してきてないわ』
『そこがまた君の魅力なのかも(笑)いいんだょ。それで…さ』
そう言うと私を見つめ
優しく微笑んだ。
『そろそろ.寝ようか』
彼の言葉に体を固くした。
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