壱話

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下に降りると味噌汁の匂いがした。 居間に入るとお祖父さんが新聞を読んでいて、お祖母さんが朝食の用意をしていた。 この人たちは父方の祖父母で私を苦しみの場所から救ってくれた人たちだ。 「おはようございます 、おじいちゃん」 深月は儚げな顔から一変し笑顔で挨拶をした。 「ああ、おはよう深月や。よく眠れたかい?」 おじいちゃんは顔をあげて、満面の笑みで迎えてくれた。 「うん、今日から新しい学校だから緊張しちゃうな」 これは半分本当で半分嘘。 自分を偽らなきゃ過去に呑み込まれそうだったから。 「そうかい新しい学校じゃから緊張するのは当然じゃな。そんなに緊張するならおじいちゃんが着いていってやるぞ?」
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