6人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
『い、今すぐ、真木と俺の家に来てくれ』
その言葉は震えていて、声を掛けようとしたがその前に切られてしまう。
優気に何か遭ったのかは明らかであった。
あそこまで怯えた様子の優気を滅多に見なかった双谷は、すぐさま真木に大まかな連絡と説明をすると駅へと急いだ。
十数分後に真木と落ち合い電車に乗った双谷は、目的地までの時間で整理する。
「ねぇ、優気は何て言ってたの?」
頭を動かしていると、軽くしか説明していなかった為か真木が訊ねてきた。
「いや、真木と来る様にとしか聞いて無い。
でも、アイツの言葉に余裕は無かったし、心此処に非ずって感じだった」
「・・・それって、もしかして・・・・・」
「多分だが、例の事件の事だろうな。
それ以外に心当たりが無い」
双谷が言い終わるとタイミングよく電車が目的地に着いた。
二人は改札から出て来ると、心配そうに真木が呟く。
「大丈夫だよね、優気」
「あぁ、優気なら大丈夫だ」
一言だけ言い残すと、沈着した空気の中二人は歩き出した。
最初のコメントを投稿しよう!