動き出す物語

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『い、今すぐ、真木と俺の家に来てくれ』 その言葉は震えていて、声を掛けようとしたがその前に切られてしまう。 優気に何か遭ったのかは明らかであった。 あそこまで怯えた様子の優気を滅多に見なかった双谷は、すぐさま真木に大まかな連絡と説明をすると駅へと急いだ。 十数分後に真木と落ち合い電車に乗った双谷は、目的地までの時間で整理する。 「ねぇ、優気は何て言ってたの?」 頭を動かしていると、軽くしか説明していなかった為か真木が訊ねてきた。 「いや、真木と来る様にとしか聞いて無い。 でも、アイツの言葉に余裕は無かったし、心此処に非ずって感じだった」 「・・・それって、もしかして・・・・・」 「多分だが、例の事件の事だろうな。 それ以外に心当たりが無い」 双谷が言い終わるとタイミングよく電車が目的地に着いた。 二人は改札から出て来ると、心配そうに真木が呟く。 「大丈夫だよね、優気」 「あぁ、優気なら大丈夫だ」 一言だけ言い残すと、沈着した空気の中二人は歩き出した。
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