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辺り一帯は静かで、聞こえるのは時計の音と自分の心臓の音。
10分位前に双谷に電話を掛けた優気は、じっと二人が来るのを待っていた。
心に余裕は無く、1分、1秒でも早く来てくれるのを願っていた。
しかし、インターホンの音は未だ響かず、時計の一秒一秒を刻む音が心を焦らせる。
優気は目を瞑り、耳に意識を集中させて他の事を出来るだけ考えない様にしていた。
すると突然、待ち侘びていた音が部屋の中に響いた。
ビクッ、としたものの、優気は玄関に向けて急いだ。
扉を開けると、待ち侘びていた二人が心配そうに立っていた。
「大丈夫か?優気」
双谷が初めに声を掛けてくれる。
「あ、あぁ、何とか・・・・・」
そういって優気は無理に笑って見せた。
「・・・そっか。取り敢えず、話って?」
優気が大丈夫で無いのは明らかだったが、双谷はまず話を聞く事にした。
隣では真木が黙って二人の話を聞いている。
「こんな所じゃなんだから、入って」
そう言い優気は二人を招く。
それに黙って二人は優気に着いて行き、部屋へ入っていった。
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