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「まだ16なんだもんなお前。」
「もうすぐ17だもん。」
家の近くのファミレスは春休みとあってか学生などの若い連中が大半を占めていた。俺みたいなオッサンが、女子高生を連れている姿は一体どう映るんだろうか。
考えただけで少し恐ろしい。実際はただの兄妹なのに。まあ、今がスーツじゃないだけマシか。
「お兄ちゃんはもうすぐ27でしょ。」
「やべぇな、本当。オッサンだよ」
俺が17歳の時、衣苳はまだ7歳だった。可愛いとは思うがどう扱っていいかわからなかった俺はそんなにいい兄ではなかっただろう。構ってやった覚えもあまりない。
それが気付いたらもう17歳で、時々見せる大人っぽい仕種や表情はちょっと心臓に悪い。…多分良い意味で。
「彼氏とかいねーの?」
「彼氏…?」
確か俺は15歳の時に初めて彼女が出来た。クラスメートでたまたま前の席だった女で今で言うツンデレってやつで当時の俺はそれが面白くて好きだったな。あいつ今なにやってんだろう。
「彼氏は、」
「あれ?宮瀬?」
突然聞こえた声。俺達の名前を呼んだのはどうやら衣苳と同じ学校の男子っぽい。なんだこいつ、見た目胡散臭い。黒縁のメガネに軽くワックスで整えた爽やかな感じが逆にすげー胡散臭い。
「や、矢野くん!?」
「やっぱ宮瀬じゃん。…てか悪い、もしかして邪魔した?」
「ううん、大丈夫。」
なんだかホッとした表情する矢野と呼ばれたやつ。俺は勘だけはいい方だ。特にこういうのは。この矢野ってやつ、恐らく衣苳のこと好きだな。なんか直感的にそう思った。
「衣苳の友達?」
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