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「…………あの、じゃあ、こうしましょう??
弁償なんていいので……、変わりに僕を駅前の眼鏡屋までエスコートしてもらえませんか?
図々しいのは、承知です。でも………、実はあまり周りが見えなくて……。」
すると、相手の人は即答した。
「勿論だよ!!
ここで待っていて??
すぐに着替えて来る。」
そう言って、側を離れようとする彼を、呼び止め、担任からの言伝も彼に頼んだ。
「うちの顧問だし、お安い御用。」と優しく言って、彼は着替えに向かった。
あっという間に着替えたのか、思いの外、彼は早く戻って来た。
「お待たせ。
顧問にも伝えたし、安心して?
じゃあ、行こうか。」
爽やかな声が聞こえて、駅前へと向かおうと一歩踏み出した。
「あ、ねぇ危ないから、一応ね?
捕まってて??」
そう言って、僕の右手は彼の左手へと誘導された。
なんて気が利いて、優しい人なんだろう。
女の子ならコロッと好きになるんだろな。
なんて思いながら、ちょっと気恥ずかしい。
でも視界は悪いし、せっかくの彼の優しさを無下に出来なくて、お礼を言って、甘えさせてもらった。
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