未知との遭遇

5/8
前へ
/44ページ
次へ
「…………あの、じゃあ、こうしましょう?? 弁償なんていいので……、変わりに僕を駅前の眼鏡屋までエスコートしてもらえませんか? 図々しいのは、承知です。でも………、実はあまり周りが見えなくて……。」 すると、相手の人は即答した。 「勿論だよ!! ここで待っていて?? すぐに着替えて来る。」 そう言って、側を離れようとする彼を、呼び止め、担任からの言伝も彼に頼んだ。 「うちの顧問だし、お安い御用。」と優しく言って、彼は着替えに向かった。 あっという間に着替えたのか、思いの外、彼は早く戻って来た。 「お待たせ。 顧問にも伝えたし、安心して? じゃあ、行こうか。」 爽やかな声が聞こえて、駅前へと向かおうと一歩踏み出した。 「あ、ねぇ危ないから、一応ね? 捕まってて??」 そう言って、僕の右手は彼の左手へと誘導された。 なんて気が利いて、優しい人なんだろう。 女の子ならコロッと好きになるんだろな。 なんて思いながら、ちょっと気恥ずかしい。 でも視界は悪いし、せっかくの彼の優しさを無下に出来なくて、お礼を言って、甘えさせてもらった。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

339人が本棚に入れています
本棚に追加