十一ノ唄

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 食べるものも食べ、ようやくみんなが落ち着いた頃、嗣郎さんが話を振ってきた。多分これが今日の本題だったんだと思う。 「…で?お前達の本家の様子はどんな感じだった?」  嗣郎さんの言葉に、全員の視線が僕に集中した。今正におはぎの最後の一口を運ぼうとしていたとこだったけど、その手は止めざるをえない。 「な、何っ…」 「俺の父さんも奏哥に会いたいってさ!是非自分の代で二人が出逢うの見たかったって!」 「私の家も同じですね。やっと待ち望んだ時が来たのですから。皆立ち会えなくて不満そうでした」 「……ぇ、あ…それって…」  い、いい事なのかなっ… 「今度俺達の家に遊びに来いよな!」  熙斗にバシッ!と背中を叩かれて、箸で摘まんだままのおはぎがテーブルに転がった。 「近い内に顔見せでもするか」  麒麟が入れた熱いお茶を飲みながら、嗣郎さんが言う。顔見せって……何か大袈裟過ぎないかなっ… 「我とそなたのために、一族の運命をかけてくれた者達だ。皆そなたを待っておったのだからな…、会ってやってくれ」 「う、うんっ…それは…もちろんっ…ぼ、僕でよければ…」  そうだよ。魄皇の言うことはよく分かる。むしろ会ってちゃんとお礼をするのが僕の義務だ。でも…こんなのがって思われたら……どうしよう…。 「大丈夫だ」  魄皇にそっと髪を撫でられた。その手はそのまま頬を滑り、僕の顎を捉える。 「そなたはもっと自信を持て」  僕の心を見透かしたみたいに魄皇がそう言った。そして、持ち上げられた顎を引かれバランスを崩しそうになった隙に、魄皇の唇が僕に重なった。 .
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