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嗣郎さんの鼻息が荒い!腰に当たるモノは益々硬度を増して、わざとらしく尻の谷間に押し付けられている。
「ヤベェー、たまんねぇわ……こんな匂いさせてるお前がワリィよな」
独り言なんだろうか。まるで意識朦朧としたような口調の嗣郎さん。毒気に当てられたみたいに朦朧としながらも、ついにその手が僕の服の中に侵入してきた。
「ちょっ…!?」
何で今日に限って誰もいないの!?
麒麟!早く戻って来て…!!
「だっ―――」
誰か!!
そう叫ぼうとした僕の上から、ふと嗣郎さんの重みが消えて、代わりに「ぐっ…」と苦しそうな呻き声が聞こえた。
「大丈夫ですか…!?」
聞き馴染んだ声。知らない内にギュッと閉じていた目蓋を開くと、見慣れた双子の姿。
「紅月!紅陽…!」
僕は二人に軽々と抱き起こされ、そうして呻き声の正体を知る。
「……いくら七総の当主と言えど、奏哥に手を出したら許さぬと―――、以前忠告しなかったか?」
僕が聞いた事も無いような低く唸るような声音で、魄皇が嗣郎さんの首を掴んでいた。
「は、魄皇っ…!」
慌てて魄皇の腕にすがり付く。いくら嗣郎さんが悪くて自業自得だとしても、このまま首を絞めたらホントに死んでしまう!
魄皇の様子は、それくらい鬼気迫る勢いと雰囲気を漂わせていた。
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