十一ノ唄

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 あれだけの量の料理が、あっという間に消えていく。僕もたくさん食べている方だと思うんだけど、嗣郎さんと熙斗には及ばなかった。 「育ち盛りだからな!」  そう言いながら、熙斗が海老の旨煮をバリバリ豪快に食べている。 「熙斗はね。嗣郎がこれ以上育ったら困るけど」  笑顔でサラリとそう言う霞さんは、熙斗が食い散らかした海老の残骸を皿によけていた。  驚いた事に、紅陽も料理を食べていた。以前紅陽も紅月も式神で、元は白羽と同じ様に力を込めた"式符"と呼ばれる紙から作ったのだと聞いていたから。その証拠と言うか、紅月は食べられないみたい。ただ、それをさして気にする様子も無く、甲斐甲斐しく皆の世話を焼いている。 「紅陽は我の肉体の一部から出来ている」  それも、前に聞いた。  魄皇の角が片方無いのは、雪鈴を守り抜き"命"を落とした紅陽を復活させる為に使ったのだ。 「式符のみから創られた式神とは違うらしい。例が無く我にも分からんがな」  そうなのかと、僕には納得するしか無かった。  そんな会話を交わす内に料理はすっかり空になり、タイミングを見計らった麒麟が、僕の持って着た重箱を運んで来た。紅月が気を利かせて皿を出し、皆に丁寧に取り分ける。 「美味そう!」  熙斗の目が輝いていて、正直感心した。かなりの量を食べたのに、まだ食欲があるのが凄い。甘い物は別腹なんだろうか。 .
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