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凛とした声が響き渡る。
その声に、飛燕生も果西生もバッと振り向いた。
「あ゙。」
諒介がポカンと口を開けるのが見えた。
現れたブラバンの3人の中に、
松波陸がいた。
「えっと、ブラバン??」
生徒会役員が訊ねる。
「ハイ、ブラバン学年長、山下香澄です」
先程堂々と「遅刻しましたぁ」と言ってのけた少女だった。
スゲー、と巧真が呟いた。
「同じく副学年長、耕納明日菜(コウノ アスナ)です」
これまた堂々と、言ってのける。同じ副学年長として、無意識に俺も背筋が伸びる。
「あ‥」
チラッと明日菜を見ると、手にマウスピース(楽器を吹く際に口に当てて息を吹き込むいわば媒体のようなもの)を持っている。
あ、ボーン(トロンボーン)なんだ、耕納は。
妙な共通意識を持った颯の耳に、鋭い声が響いた。
「選挙管理委員長、松波陸です。遅れて申し訳ありません」
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