改革の時来たれり~!

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ミア…side 竜の生まれの地。 冷界の揺り籠。 空の闇から降り注ぐ絶対冷却の中、竜は生まれる。 その地に今なお存在する憤怒を纏う黒い竜。 ミア「久しいな。 グローク。」 空を眺め佇む黒き竜には既に魂は無い。 約八千年前、人間に家族を殺され憤怒をその体に宿し、いつかのユリトのような目をしていた。 美しく艶のあった鱗はくすみ、人間の血が深く染み込み地面に滴り落ちている。 それから数年後。 彼は家族を殺されたその後勇者と呼ばれる人間に殺された。 しかし魂は消滅してなお憤怒を纏った身体は、朽ちる事なく冷界の揺り籠に戻ってきた。 ユリトもこうならなければいいんだが… あの時のユリトは限りなくグロークに似ていた。 「ミアテイア様? 竜墓地に向かわれたのでは?」 ミア「ん? デルペティか。 肉体は既に世界の糧になっている。 安心しろ。」 デル「では… その体は誰の体ですか? あなたの魔力の他に強い魔力を感じますが。」 デルペティは私が生まれる前から生きていて、もはや皮と骨だけの老竜だがその力は優に私を越えている。 ミア「ユリトという変わった人間だ。」 デル「人間!? 本当に人間なのですか?」 確かにユリトは人間とは一線を越す存在… いや。下手すると竜とも一線を越す存在なのかも知れない。 デル「あなたから人間の匂いがするのもそう言う事ですか?」 ミア「話せば長くなるな。」 それから私は一から全てデルペティに話した。 その間に喋り好きのデルペティは、珍しく黙ったままだった。 デル「私もあってみたいですね。」 話しを聞き終わったデルペティは嬉しそうに笑う。 デルペティが笑う所を初めて見たな。 ミア「大丈夫だ。 会いたいと言う相手には、嫌いな相手でも会う男だからな。」 デル「そうですか。 ではその内会いに行くとお伝え下さい。 今日はもうお帰りなさい。」 ミア「分かった。」 私は翼を広げ帰路につく。 ここまで来るのに昼までかかったから、屋敷に着く頃にはユリト達が帰っているだろう。
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