休暇?んなもんある訳無いだろ!

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ソティー…side ソティー「ユーリト。」 私は寝台に横たわるユリトに呼びかけます。 魂が無い。 それは死んだも同然なんです。 こんなにも安らかに寝ていると言うのに… ソティー「ユリ…ト。」 話す事も出来ないなんて… カチャ ミア「ソティー… 陛下が直接報告しに来いとの事だ。 行けるか?」 ソティー「うん。」 私は立ち上がり、ユリトの部屋をでます。 ソティー「お休みユリト。」 デルペティさんにも何故ユリトの魂が無いのか分からないそうです。 報告にはデルペティさんも来てくれます。 ユリトにはミアが悪霊が入り込まないように天魔術で、強力な結界を張ってくれました。 天魔術は守る為の魔術で、特に加護系の魔術の強さは光魔術を容易く凌ぎます。 そうしてユリトの体は、悪霊に取り憑かれる事無く魂の帰還を待つ… 魔竜の居場所は分からないが、最も障害になるであろうユリトの本来の体を破壊する必要があります。 魔竜が本来の力を使うには本来の肉体に戻る必要があります。 そしてユリトが本来の力を発揮するためにも、本来の肉体が必要なのです。 だから必ず魔竜はここに来ます。 ヤカザイン「魔竜…」 ミア「恐らくはユリトの体を破壊するためにここに来ます。」 デル「再びあの惨劇が起こるぞ? ここで食い止めなければの話しじゃがな。」 魔竜の恨みが生み出した魔物によって、世界が満たされた過去がある。 それ故に今でもその残党の魔物が時折発見されます。 ヤカザイン「今わが国に迎え撃つほどの戦力は残されていない。」 ソティー「あります。」 ユリトは必ず取り戻します。 ウェル「一国を攻め入る事が出来るほどの戦力を持った部隊が。」 ヤカザイン「しかし… 疲労も溜まりに溜まっているのだろ?」 レイヤン「家族をあんなにされて、黙っている奴はいません。」 ユリトは休日も他の隊員たちと話したり、隊員の家族とも強い繋がりを持っています。 ユリトは人との繋がりを欲していたのかもしれません。 皆と話す顔が余りにも輝かしくて… ユリトは人を完全に信じられない世界で生きてきたのかもしれません。 とにかく隊員たちはそんなユリトを慕っています。 レイヤン「さぁ。 まだまだ忙しくなるぞ。」 ソティー「はい。」 ミア「そうだな。」 ウェル「ああ。」 廊下を歩く私たちはユリトを取り戻す決意を刻み、皆が待つ屋敷に帰る。
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