休暇?んなもんある訳無いだろ!

18/34
前へ
/543ページ
次へ
ウェル…side またこうして待つとはな。 待っているものは違うが… 大体の戦力は王都に集まった。 少数の兵士は治安維持の為に地方にいるが… 周辺国も軍隊を国境沿いではなく、王都や主要都市に集結させているらしい。 「あれ? ウェルさんが見張りする事ないですよ?」 ウェル「ん? いや… 屋敷に居づらくてな。」 寝ているだけのユリトと居ても虚しくなるだけだ。 ウェル「にやにやどうした。 言いたい事があるなら言え。」 「いやあ… なんだか恋人を待ってるように見えたもんで。」 間違いじゃないが… 自分がする事には恥ずかしく無いんだが、他人に言われると恥ずかしい… うー。 火照ってきた… 「あれ? 図星ですか?」 ウェル「うっうるさい!」 なんでこうも私の周りには、からかう奴らが多いんだ! ウェル「もう帰る!」 「お気をつけてー。」 全く… 街もどことなく活気が無いように見えるな。 いまでも戦争中だったが、王都が直接攻められる事は無かった。 そしていつ来るか分からない敵を恐れている。 陛下は国民に魔竜の復活を知らせ、攻められた時の混乱を防いだ。 「ウェル様。 ユリト様にこのランシュを。」 そう言って籠一杯に入った赤い実のランシュを渡された。 ウェル「ありがとう。 ユリトも喜ぶと思うよ。」 ユリトは公式には、病で倒れたと言う事はしてある。 ユリトの魂が無いなどと言ったら、国民にどれだけの不安を与える事だろう。 「ユリト様はランシュが大好きでね。」 ウェル「そうなのか?」 言われてみれば食後はいつも食べていたな。 学園でもそれは変わらなかった。 「ユリト様が早く良くなるように願っております。」 ウェル「ありがとう。」 果物屋のお婆さんにお礼を言い、私は帰路についた。 ユリトの目が覚めたら、ランシュでお菓子でも焼いてやろう。 だから… ウェル「必ず戻って来いよ。」
/543ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16402人が本棚に入れています
本棚に追加