休暇?んなもんある訳無いだろ!

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ミア…side 既にこちらの準備は整った。 ユリトが倒れてから2日が経とうとしている。 そして初めてグロークの動きがあった。 そのために謁見の間に陛下、大臣、各部隊長、国直部服部隊長が集まった。 ヤカザイン「リャーベル国が魔竜に滅ぼされた。」 リャーベル国から避難して来た市民、兵士から得た情報だ。 血を滴らせた黒い竜と異形の魔物に滅ぼされたと… 「なぜナバルツを最初に攻撃して来ない!」 リャーベルは条約を結んだ国で、ある程度友好関係を築き上げた。 ツンホォンも友好関係を築き上げているが、実の所はツンホォンの姫がユリトに一目惚れしたとかなんとか… リャーベルとツンホォンも不可侵条約を結び、三国で話し合いの場を近々設けるつもりだったが、これでは意味がない。 ミア「恐らく魂が体に馴染んだかを試したんだと思います。」 「せっかくの友好国が…」 ヤカザイン「そして魔竜はいまリャーベル城を拠点として力を貯めて居るようだ。」 「今の内に討ってでるべきでは?」 「しかし国防が手薄になってしまいます。 あくまで奴の狙いはユリトの肉体の破壊ですから。」 「周り込まれたら意味がありませんな。」 しかしこのまま力を蓄えさせていいだろうか? ユリトが動けない以上は軍隊も下手に動かせない。 ユリトなら何か思いつくのだろうが… 陛下や大臣、各部隊長は話し合いを続けている。 レイヤン「どう思う?」 ミア「何が?」 レイヤンが後ろから耳打ちして来る。 レイヤン「魔竜の今後の動きについてだ。」 あいつの動きか。 ミア「後2日ぐらいは力を蓄えるな。 あいつは人間を殲滅するのが願いだからな。 ユリトの体を破壊した後に世界中に異形の魔物を放つだろう。」 グロークは変に頭を働かすからな。 その点ユリトとそっくりだ。 ソティー「それなら今世界中に放った方がいいんじゃない?」 ミア「あの魔物は奴の憎しみから生まれる。 人間を減らしたらその分だけ憎しみが和らぐ。 強力かつ出来るだけ多く作るには、人間は多い方がいい。」 ウェル「憎しみだけの存在… か。」 昔のグロークは美しく艶めかな黒の鋭い鱗を持っていた。 その猛々しい姿とは裏腹に優しく、とても臆病な性格だった。 家族を溺愛し、そして殺され、変わってしまった。 ソティー「なんだか可哀想。」 ミア「そうだな…」 もしあいつが昔に戻ればどんなに良いことか…
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