休暇?んなもんある訳無いだろ!

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ミア…side シニル「やぁー!」 ガリガリ! 《グオォ!》 遠くから飛来したシニルは、通り過ぎ様に爪をグロークに突き立てて行く。 シニルの爪は鱗を貫き、付けた傷跡からは、血が流れている。 デル「ふん!」 パァーン!パキパキ… 《ガァ!》 デルペティの口から放たれた輝く球体は、シニルの攻撃でよろめいたグロークに当たった。 当たった部分の鱗は剥がれ落ちまたも血が流れる。 《ぐぅ! 何故だ! 何故人間などの味方をする! 奴らは他者の意も解そうとせず、殺戮を楽しむ生き物ではないか! そんな種族など滅んで当然! なのに… 何故またお前は邪魔をする!》 グロークはそう叫びながら私を睨み付ける。 ソティー「また?」 そうか。ソティーは知らなかったな。 ミア「生き物は間違いを犯す。 例え神であってもだ。 お前は間違いを正そうとしないのか?」 私でさえ何度間違いを犯したか分からない。 だからこそ、そこから学ぶ事は多い。 デル「…」 《間違い… だと? 人間が存在している事が間違いだ! 人間さえ居なければ! アイツは! アイツは殺されずに済んだ!》 まだ痛みを引きずって居るのか… ミア「間違いはお前が今やっている事だ。 人間を滅ぼして、ジャニアリカは喜ぶか? 調和を求めた彼女が人間が滅ぶ事を望んだか?」 《黙れ… 黙れ黙れダマレェー!》 シニル「アルデビステリア様はこうおっしゃっていました。 間違う事は罪ではない。 間違いを正さない事が罪なのだ。 間違いを償わない事が罪なのだ。 生き物はそうして生きるんだと。」 グロークの瞳からは悲しみの血の涙が流れている。 デル「グロークよ。 ここいらで戻らんか? 昔の優しくて臆病で泣き虫なお前さんに。」 《ぐぅ… うおぉぉーーー!》 グロークはありったけの魔力で巨大な黒紫球を作り上げる。 ミア「戻れグローク!」 元のお前に! ブーン なんだ!? 《がぁ!》 突如グロークの体から複雑怪奇な魔術陣が編み出され、巨大な魔術陣になった時に黒紫球の魔力を吸収し弾け飛んだ。 ソティー「何が!?」 分からない。 分からないが… あのなつかしい感覚はユリトに違いない。
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