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ウェル…side
流石はユリトだ。
私は精一杯押しているのにユリトは笑みを浮かべている。
ユリトは巨剣を棒きれのように扱うから、動きが遅い私の戦槌では切られるのは必至。
ユリト「上出来だ。」
ユリトはそう言うと私の押す力を利用し後ろに下がる。
バキッ!
くそ!
戦槌が地面に!
ここで手こずったらやられる!
ウェル「カダーアスシスト!」
私はすぐに魔法で追撃し、ユリトの体制を整えさせない。
ユリト「おぉ!すぅ…」
ユリトは感心したような声を上げると一つ息を吸い込んだ。
ゴオゥーウ!
全員「えぇ~~~!」
綺麗…
しまった!
ウェル「プロセクトアスシスト!」
自分の前に六角形を積み重ねたような氷の壁を何枚も作る。
ユリトいわく、六角形は自然界で最も強度がある形らしい。
大体口から炎なんて反則だろ!
ゴワァー!
氷の壁に炎がぶつかる衝撃を耐え、最後の壁でようやく炎は止まった。
ふぅー…
消し炭になるかと思った…
ユリト「けへっ…
思ったよりしんどい。」
ユリトは口から煙を吐くと、巨剣を構え直す…
前に私が戦槌でユリトの頭を狙う。
ユリト「おわっ!」
ユリトは頭を後ろに反り返し避ける。
良かった…
当たったらどうしようかと思ってた。
そのまま戦槌を地面に立て、私はそれを支柱に蹴りを放つ。
ユリト「がっ!」
私の蹴りは腹に当たり、吹き飛ばされたユリトは空中で体制を整えた。
ユリト「ここまで強くなってたか。」
ウェル「覚悟しろと言ったろ?」
ユリト「そうだった。」
ユリトはくくっと笑い、すぐに真剣な表情を作る。
ユリト「人類でお前ほど、体術に優れた人間はいないだろう。」
ウェル「お前がいる。
ユリト!」
私は走り出し戦槌を振り下ろす。
ユリト「俺を除いてだ!」
巨剣を斜めにして戦槌の軌道をずらし、左手を私の腹に当てる。
ユリト「インス!」
ウェル「ぐぅ!」
衝撃波によって後ろに吹き飛ばされた私は、なんとか立ち上がる。
うぅ…
痛い…
口の中には血の味が広がり、腹部に鈍い激痛が走る。
顔が自然と歪むのが分かった。
ユリト「あれ?
痛みで気絶してくれると思ったんだけど。」
ウェル「私の体は頑丈なんだ。」
でも正直意識が飛びそう。
ユリト「強情だねぇ。
どの道それじゃ戦えないし…
今は休んでおきな。」
目の前からユリトの姿が消え、軽い衝撃のあと私の意識は完全に途絶えた。
やろうと思えば最初から出来ただろうに…
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