長期休暇ですよ~!

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「ミア副隊長。」 私に弓兵が突然声をかける。 ミア「なんだ。」 私は基本、天板の上で遠くの奴隷商を探している。 レイアンもやっているが、あくまで人間より視力がいいからだ。 「休み中、海に行くって本当ですか?」 ミア「あぁ。」 話しながらでもしっかり警戒しているから、注意はしない。 軍馬車を先頭と後方に、通常馬車と牢馬車を真ん中に入れて、行軍するのが巡回時の馬車列だ。 「もしかして副隊長水着着るんすか!」 左側を警戒している隊員の声だ。 軍馬車には警戒用の小さな窓がついている。 ミア「ちゃんと警戒してるか?」 「してます!」 「嘘付け。」 カン 「いた!」 「「「はははは!」」」 おそらく頭を殴られたんだろう。 甲冑ごしだから痛くないだろ? ん? そんなに話してていいのかって? この軍馬車は目立ち過ぎるし、王都周辺はほぼ平野だ。 所々林や草むらがあるが、馬車を隠すには足りないので、奴隷商は私たちを見たら逃げるしか出来ない。 「右後方不審馬車発見! 確認を!」 右後ろで聞こえた声。 見ると丁度馬車が森から出てくる所だった。 あそこに道は無いし、何より急いで馬車を走らせている。 レイアンでもあの距離は見えないが、私は見える。 ミア「レイアン!標的だ!」 おそらく私たちが過ぎるのをじっと待っていたんだろう。 レイアン「分かった! 軍馬車旋回! 他は後から付いて来い!」 馬車を旋回させ、馬を走らせる。 向こうも速度を早めるが、こちらは軍馬のために圧倒的な速度で追い付く。 ミア「剣から弓に変えたか。」 奴隷商の一味は矢を放ち私たちの足止めにかかる。 パァーン! しかし、馬車には跳び道具に反応して自動展開する、結界防御式魔術が固定化されている。 ユリトは無駄な事をして、いつもぶっ倒れるから世話する方の事を考えてほしい。 魔力と体力は保つが、精神の方が保たないとかなんとか。 精神力だけは、なかなか鍛えられる物じゃないしな。 ミア/レイアン「撃て~!」 一斉に天板上の弓兵が矢を放つ。 狙いは相手側の弓兵の腕だ。 「ぐっ!」「ぎゃあ!」 全ての矢が外す事無く当たる。 それでも必死に撃ってくるが、結界で弾かれる。 この国の奴隷禁止法の処罰は厳しいからな。 捕まればただでは済まない。
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