長期休暇ですよ~!

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私たちは知らなかったが、周辺国の重鎮がお忍びでナバルツに訪問して、いたく街の雰囲気に感動したらしい。 おかげで、ナバルツの近隣だけだが、奴隷禁止法が推奨され始めているそうだ。 ユリトは当然のようにその事を聞いていた。 時々ユリトは別世界から来た人間と思ってしまう。 そんな事をほのめかす話は聞いていたが…な。 突然、奴隷馬車の前の馬車が反転し引き返していく。 私たちの目的は奴隷の救助、奴隷商の取り締まり。 私の馬車は逃げる馬車を追いかけ、レイアンの馬車は奴隷馬車を追いかける。 あくまで奴隷馬車おとりか。 しかしこれで手加減の必要が無くなった。 ミア「車軸を狙え!」 「はっ!」 私の魔術は手加減しても、人なんぞ簡単に死んでしまうからな。 だからユリトに、戦争時と対魔物の時しか魔術の使用を許可されていない。 バキッ! 設置型大弓に狙われた車軸は砕け、後は自然と止まる。 すかさず近距離戦闘兵が降り、奴隷商たちを制圧する。 私ももちろん参加している。 私は剣とかは使えないから、腕を元の姿に戻して戦う。 弓兵が基本だったのか、傭兵はいなかった。 「ミア副隊長。制圧完了です。」 ミア「ご苦労様。」 向こうもすぐ済んだのかこちらに向かってきている。 結構人数が多いな。 これは一旦戻らないと駄目だな。 「海かぁ。 見てみたいなぁ。」 既に奴隷商の一味は縄で縛り上げている。 「俺は副隊長の水着姿が…」 ミア「一緒に来れば見れるぞ?」 副隊長は4人いるが、誰の事を言ってるんだか。 「このロリコンが!」 カラカラと笑いながら言う他の隊員。 「隊長が許す筈が無い。」 「だよな…」 がっくりと肩を落とす隊員。 「「「ははははっ!」」」 そんな姿を見て笑う他の隊員たち。 ふふっ。 だろうな。 ユリトは海で合宿しながら遊ぶそうだ。 まだ任務中だろって? 逃げようとした奴は、もれなく踏みつけられているから大丈夫だ。 レイアン「随分楽しそうだな。」 ミア「ああ。」 牢馬車が着き、奴隷商とその一味を順番に放り込んでいく。 レイアン「一回戻るか。」 ミア「それがいいと思う。」 ユリトは今頃試験を受けているだろうな。
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