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レイヤン…side
いつの間にか話題が我が子になってるな。
私はちらりと外を眺めた。
ソティーの課題のアンティスクの生息域は、この近くだな。
レイヤン「そういえばユリト。
ソティーの課題はいいのか?
そろそろ近くだが?」
ユリトも外を少し眺めてぱっと私を見る。
ユリト「んじゃレイヤン指揮任せたよ。」
レイヤン「分かった。」
ユリトは窓から馬車の上に上がる。
全くいつ見ても危なっかしい。
私は窓から顔を出し、上を見る。
ユリト「夜中には帰るよ~。」
ユリトはそれだけ言うと、馬車の上を飛んで後続の馬車に乗る。
身軽だな。
まぁ。
私もやろうと思えばやれるが…
私はそんな事を考えながら、頭を引っ込める。
「そういえばソティー副隊長は、幽霊の類が苦手らしいですよ。」
レイヤン「大変だな。」
それでアンティスクの生態を教えた時、苦い顔をしていたのか。
ソティー「ばがぁ~!!」
後続から聞こえる悲痛な叫び。
さしずめユリトがソティーを攫ったんだろう。
ん?
語弊があるか?
ソティー「やだやだやだやだ!」
隊員達「…」
レイヤン「…」
徐々に遠ざかる声を聞きながら、同情せざるを得ない。
1人は合掌しているが、それだと意味が変わるが?
少女の悲痛な叫びが隊全体を静かにさせた。
ウェル「ん…んぅ~…あれ?
ユリトは?」
やっと起きたか。
ウェルは出発してすぐに眠いと言い出し、今まで睡眠を貪っていたのだ。
ウェルはいつもは凛としているが、ユリトの前ではデレデレだ。
レイヤン「ソティーの課題を手伝いに行った。」
ウェル「ん~…
そうですか。」
ウェルはぐっと背伸びをしてから返事をした。
…
ウェルは着痩せするタイプだ。
この歳になっても小さいままの私にとっては羨ましい限りだ。
戦闘時には邪魔にならないが、女性として生きるとなると致命的だ。
ユリトの好みが分からないからなんとも言えないが…
ウェル「…?
どうかしましたか?」
じっとウェルの胸を見ていたから、不審に思ったらしく怪訝な顔をしている。
レイヤン「いや…
何でもない…」
私は顔を逸らし、窓の外を見る。
さっきまでの晴れた天気は無く、空はどんよりとした雲に覆われていた。
これは一雨降るな。
ウェル「町にはいつ頃着きますか?」
レイヤン「雨が降れば8時。
降らなければ6時前だな。」
多分ユリト達びしょ濡れで帰って来ますよねと、ウェルは私と並んで空を眺める。
だろうな…
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