長期休暇ですよ~!

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レイヤン「せーの!」 「「「うりゃぁー!」」」 泥沼にはまった馬車を押し、なんとか抜け出す。 レイヤン「くそ!まさかここまで強くなるとは…」 既に視界はほとんど分からず、町がどの方向にあるかも分からない。 町に向けてまっすぐ進んでいたから、まっすぐ進めばいいんだろうが… ミア「今日中に街に着けるか!?」 レイヤン「分からない!! 地形の変わりようによる!!」 激しい雨のせいで声が殆ど聞こえず、叫ぶような形になる。 残念ながらこの近辺の出身兵は居なかったため、道案内もない状況だ。 ユリト達は大丈夫だろうか… ここら辺の地面は雨でぬかるみ、テントを張る事も出来ない。 何が何でも街に着かなければ、休む事も出来ない。 激しい雨とぬかるんだ地面の中、国直部は強行軍をせざるを得ない。 ウェル「遠くに明かりが見える。」 ウェルは前方を見据えてポツリと言う。 本当にうっすらぼんやりだがな。 「どこですか?」 犬獣人の私の目は、暗がりではあまり当てにならない。 しかしウェルはどんな視力をしてるんだ? レイヤン「街の灯りか?」 ウェル「恐らくは…」 隊員の疲労も限界が近いからな。 目標が見えただけでも活力に繋がる。 レイヤン「ウェル先導頼んだぞ。」 ウェル「はい。」 レイヤン「街はもうすぐだ! 気張れ!!」 「「「はっ!!」」」 そして国直部は強行軍を続け、なんとか街までたどり着いた。 レイヤン「国直部副隊長レイシャルテ・ホン・レベァツースだ!」 固く閉ざされた門に叫び、向こう側で慌ただしい気配を感じた後に、門が重い音を上げ開かれた。 「お待ちしておりました! どうぞ此方へ!」 レイヤン「ありがとう!」 馬車が街に完全に入った後にまた門が固く閉ざされた。 ユリトなら飛び越えるから大丈夫だろう。 この街は特に特徴は無いが、それなりに大きな街だ。 私達は宿に案内され、馬車と馬を宿の者に任せる。 ミア「ふう。びしょ濡れだ。」 ウェル「こういう時に髪が長いと邪魔だな。」 隊員達も上を脱ぎ外で絞ってから入って来ている。 しかし私達はそうも行かない。 「うっはぁ~色っぽいッスねぇ~。」 レイヤン「死にたいか?」 しゅー 「すみ…ません。」 ウェル「レイヤンさん。 もう殴ってます。」 所詮男など、みなこんなもんか。 「女性の方々。 浴場へご案内します。」 ミア「頼む。」 女性の使用人が出て来て、浴場に案内して貰った。 なかなか大きな浴場だったな。
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