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ソティー…side
ソティー「――っ!」
下は見ない!下は見ない!下は見ない!下は見ない!下は見ない!
クリク「ゆりと。
そてぃーがこわがってる。」
ユリト「怖いか?」
ソティー「うん…」
私はしっかりユリトにしがみつき、目を固く閉じています。
最初は好奇心が勝っていたのですが、馬車が豆粒ほどの高さになると怖くて周りの風景を楽しむ事もできなくなりました。
シニルに乗った時はまだ下がしっかりしていましたが、今回は完全に宙に浮いた状態。
ユリトに抱かれて居るとはいえ、不安は残ります。
ユリト「大丈夫だよ。
ゆっくり目を開けて上だけ見てりゃいいんだ。」
ソティー「うん…」
言われた通り目をゆっくり開き空を見ます。
空は青々としていて、雲が所々あります。
青々とした空と一緒に映る、しっかりと前を見据えたユリトの顔…
いつしか私の視線は、空ではなくユリトの顔に移っていました。
ユリト「うん?どうした?」
私の視線に気付いたユリトは此方に顔を向けます。
ソティー「何でもない。」
赤面してたらどうしよう…
私はぷいと視線を逸ら…
ソティー「…」
ユリト「?」
ソティー「…」
ユリト「おーい。」
ソティー「キャ!揺らさないでよ!」
落ちたらどうするんですか!
ユリト「硬直してたんだもん。」
クリク「ゆりとあぶない。」
ユリトはごめんごめんと笑いながら言います。
ふぅ…
何年寿命が縮んだ事か…
やって良い事と悪い事がありますよ!
ユリト「おっ。ツンホォン城が見えて来たぞ。」
ソティー「…見ない。」
ユリトは、ははっと笑いながら高度を落として行きます。
そして暫くすると、前に傾いていたユリトの体は地面と垂直になり、翼の動きも止まります。
ユリト「着いたよ。」
メキメキメキメキ!
そう言うと翼を戻し私を下ろします。
ソティー「流石に街近くはまずい?」
周りを見渡すとどうやら、帝都近くの森に降りたみたいです。
ユリト「だな。」
ユリトは空間魔術で服を取り出して着ます。
ユリト「よーし。行くか。」
ソティー「うん。」
そういえばお母さんが何故帝王の妾になっていたのか、説明してませんでしたね。
なんでも帝王の方から求婚されたとかなんとか…
パーティーでなんとかかんとか…
すみません。
あんまり覚えてません。
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