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ユリト「明るくなったなぁ!」
降りた所から少し歩き、帝都の門を越えると、前の表向きの活気はありませんでした。
ソティー「そうだね。」
ツンホォンも奴隷制度を廃止しましたが、制度廃止初期のナバルツと同じで、まだ抵抗があるみたいです。
それでも、ナバルツとの交易により市場は活性化。
市民の生活は安定しつつあるようです。
ユリト「ソティーは帰りたいとは思わないのか?」
私達は大通りを並んで歩いていると、ユリトが前を見たまま私に話し掛けます。
ちなみにクリクは周りの風景に首を一生懸命動かしています。
ソティー「思う。
でも、私は大好きな人の近くにいたいの。」
あれ?
なんだか急に顔が熱く…
なに言っちゃってるんだろ私!?
言っちゃった後だけど恥ずかしいよ~。
ユリト「ありがとう…」
ユリトは静かに笑うと、私の手を握ってくれました。
ユリトの手は大きく、とても暖かいです。
ソティー「どういたしまして。」
クリク「ゆりととそてぃーかおまっかだ!」
私達は気恥ずかしさで、高くなる体温をお互いに感じていました。
その後、喋る事も無く中央広場を抜け、城門の前に来ました。
ユリトは私の手を離し門番に話し掛けます。
門番はまずクリクにびっくりしていましたが。
ユリト「ナバルツ王国国直部隊長ユリト・アツカマだ。
帝王にお目通り願いたい。」
門番は話しを聞いて、バタバタと城に入って行きます。
ユリト「連絡魔道具が無いと不便だね。」
ソティー「あはは。」
そうして暫く待っていると、城から門番がまたバタバタと帰ってきます。
「ゼェ…
ゼェ…
ゼェ…」
本当にご苦労様です…
「ゼェ…
ゼェ…
ゼェ…」
あまりに全力で来たのか、いつぞやの私のようになっています。
その苦しみ分かります…
ユリト「入っていいの?
縦、横どっち?」
なかなか回復する様子のない門番にユリトは救いの手を出します。
ユリト「よし、入ろう。
案内は必要ないよ。」
縦に首を振る門番の横を通り過ぎて、城内に入ります。
相変わらず隠れ兵士は配置しているみたいですね。
「ユリトさまぁ~!」
…
ナバルツとツンホォンが不可侵条約を結べたのは、一般ではお互いに利益が生じる交易を持ち出したからだと言われていますが…
帝王の娘がユリトに一目惚れして、父に頼み込み、我が娘を溺愛する帝王はあっさり承諾したという『噂』がありますが…
事実みたいですね。
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