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クリク「さっきからおそらとんでるよ?」
ユリト「ん?」
クリク「うわぁ!」
俺が不意に頭を上げたから、クリクが落ちそうになった。
そしてお空には何頭ものクフィルリュウがぁ~!
ドーン!
ユリト「おわぁ~!」
クフィルリュウが空から爪を突き立てて急降下。
待て!話せば分かる!
てかまだ縄張りに入ってねぇぞ!
ユリト「クリク大丈夫か?」
クリク「うん。」
とっさに避けた俺に向けられる無機質な殺気。
なんだこれ?
こんな殺気は初めてだ。
どちらにしてもクリクはここに居たら危険だから、大人しくして貰おう。
ユリト「クリク。ソティーの所で待っててな。」
クリク「えっ?」
瞬時に転移魔術陣を組み、クリクをソティーの所に飛ばす。
クフィルリュウを良く観察すると、傷だらけでかなり痩せ細っている。
こんなに動物がいる山で、こんなにも飢えるものなのか?
傷もそのままだし…
「キイァァアァァ!」
ユリト「うお!」
バキバキバキバキ!
空から滑空して来た別のクフィルリュウをバックステップで避けると、なんとそのまま木に激突して、木をなぎ倒して止まった。
激突したクフィルリュウはゆっくり立ち上がると、頭からポタポタと血を垂らしながら、無機質な殺気を俺に向ける。
異常だ。明らかに異常過ぎる。
ユリト「お前ら!何があった!
話をさせてくれ!」
「キィァアァァァ!」
正面にいたクフィルリュウは、俺に向かって突進をする。
ユリト「くそ!
バイシフォルトイ!」
走り狂うクフィルリュウと、もう一頭のクフィルリュウを蔦が拘束する。
「キイァァアァァ!」
動けなくなったクフィルリュウは首を伸ばし、俺に噛み付こうとしている。
なにがどうなっているんだ!
訳が分からん!
クフィルリュウの家族愛が強いという面影は一切ない。
何が原因だ?
狂犬病みたいな伝染病か?
あるいは操作魔術…
服従魔術…
どちらにしても人間より高等な竜に、そんな魔術をかけるのは不可能だ。
それも一頭二頭の話じゃない。
人間の魔術技術なんて竜とっては遊びに近いし…
「貴方がユリトさん?」
ぐるぐると頭を回転させていたせいで、後ろに人が近付いた事に気がつかなかった。
ユリト「お前の仕業か?」
俺は前を向いたまま、後ろの人間に話しかける。
「はい。
そうです。」
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