長期休暇ですよ~!

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アルデ(彼は真術を使い過ぎた。 それにクフィルリュウが彼に従って居たのは、真術を行使されたからだ。 真術で対象の生態自体を変えてしまうか… よく考えたもんだよ。 つまりそのクフィルリュウは、クフィルリュウであってそうではない。 彼に従うように再プログラムされた別の生き物。 真術は世界をねじ曲げてしまう程強い力を持) ユリト「俺が聞きたいのはそこじゃねぇ!」 俺は頭に直接響くノイズのかかった声をかき消すように叫んだ。 アルデ(… 最近そっち―行け―くなっちゃってさ。 話すだけ――、結構精一杯な――よね。 だか――この話――た今度―し―――) ぷつりと聞こえなくなるアルデの声。 あいつ何か隠しているな… とにかく先にこいつらを片付けないとな。 アルデと話している時も、何頭も俺に襲いかかって来たから全て捕獲してある。 「キィァァァァ!」 「キイァ!」 「キィアアア!」 いくら愛しい人を守る為とは言え、これは惨いだろ… ユリト「次も生まれて来るときは利用されるなよ…」 バキッバキッ! 鈍い音と共に静かになる森の中。 ユリト「悪いな。 お前の首借りるぞ? 終わったらちゃんと弔ってやるからな?」 俺は一頭の首を切り落とすと、すかさず氷魔術で固め、空間魔術でしまう。 他は木の根で包み込み、地面深くに沈ませ大地に返す。 ユリト「さてと… 名前も知らなかったな。」 俺は殺されたリークン王国の兵士の首を魔術でくっつける。 死んだ人間は絶対に生き返らない。 また新たに生を受けるか、怨念で現世に残るかどちらかだ。 こいつはきっと新しく生を受けたに違いない。 ユリト「愛しい人の所に連れて行ってやるよ…」 俺は翼を広げ、男を担ぐと更に西へ飛ぶ。 彼を彼の愛しい人へと届けた時は、既に夕暮れだった。 「あなたはツンホォンの人間ですか?」 女性は冷え切った彼を抱きながら、そう呟いた。 ユリト「いや… 彼は国に関係なく殺された。」 この行為はあまりに危険だ。 「彼を殺したのは… 誰ですか?」 女性は涙を拭くことなく俺を問い詰める。 ユリト「誰の手にも届かない人だ。 王でも勇者でも…」 国際問題になりかねない… それでも、愛しい人を失う辛さを知っている俺は、行動せざるを得なかった。 この行動が彼女の救いになることを信じて… 死んだと分かって居るのに遺体も見れず、心に引っ掛かりどこかで期待してしまわないように…
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