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ユリトは最後にポツリと付け加えます。
その瞬間全身の体毛が逆立ち、失う悲しみと同時に激しい憎しみが私の心の深くを這いずり回った。
ソティー「許さない…」
声が自然と低くなったのが、自分で分かりました。
「!」
ジェシー「ひっ!」
クリク「きゅあ~。」
私の圧力に驚いたお母さんは目を見開き、ジェシーは小さく悲鳴をあげます。
クリクは何でもないのかあくびをしていました。
ユリト「はははっ!
仮定の話しだよ。
ずっとそばにいるから。」
ユリトは軽く笑い飛ばし、優しく私に話しかけます。
ソティー「うん…ごめん。」
私としたことが…
つい本気にしてしまいました。
ユリト「まぁとにかく陛下も大臣達と会議中だと思うから、連れて行けるかはまだ決まっていません。」
ユリトはジェシーに向き直り、そう告げます。
まさか『あの帝王』がこんな事を頼むなんて驚きです。
ユリト「確かにな。
過去のダメダメ帝王の面影が全くない。」
ユリトはそう言うと椅子の背もたれに体を預け…
ソティー「ってユリト!
次期女帝の前!」
ほら!
ジェシーもお母さんも苦笑いしてるじゃないですか!
ユリト「過去の事だし、今はいい方向に転がってるんだから良いじゃん。
そう思いませんか?
ジェシエル王女?」
なんでジェシーに振る!?
ほらジェシーもなんて言ったらいいか困ってるじゃん!
ユリト「あはは。
とにかく向こうの話し合いが終わるまでお待ち下さい。」
ユリトはにこやかにクリクの頭を撫でながら言います。
ジェシー「ユリト様。
敬語は止めて頂けないのですか?」
ジェシーはむすっとした顔でユリトに言います。
ジェシーは自分の父の事より、ユリトが自分に対して敬語だった事に不満だったんですね。
ユリト「あ~…
一国の王女様ですからこればかりは。」
ユリトも帝王の事で苦笑いしていたと思っていたのか、今度は逆に苦笑いをしています。
その後4人で話し込んでいると、陛下から連絡がありました。
完全な身の保証は出来ないが、死を覚悟してナバルツに来るなら止めないと言うことです。
それについては、帝王もジェシーも了承しました。
ちなみに、クリクはすっかり夢の中です。
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