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ユリト「駄目。」
ジェシー「嫌です。
ユリト様の傍に居れば、絶対安全です。」
ユリト「駄目。」
ジェシー「嫌です。私はユリト様の傍がいいです。」
ユリト「駄目。」
ジェシー「い「駄目。」
…」
ジェシーはかなり不機嫌そうに俺を睨む。
今行る場所はナバルツ王国謁見の間の陛下の御前だ。
何故こんな子供みたいな言い争いをしているかと言うと、俺は学園や特務があるし、護衛の問題もあるからジェシーには、陛下が直々に統治論を説く事になった。
俺と一緒に学園にも通いたいと言うが、学年が違うし外に無闇に出るのは危険だ。
それでジェシーには常に王宮内で過ごして貰い、俺が居るときだけ外出を許可する事にした。
ジェシーはそれが不服なのだ。
俺的いつも我が儘娘が居ると、振り回される可能性があってめん…
余りに危険だからな!
ユリト「こちらの国の情勢も考えてくれ。」
ジェシー「…」
かなり不満げだが、頷いてくれた。
ふぅ…
短いようだったが、実際はかなり時間がかかっている。説得にね。
ユリト「陛下。私はこれで。」
俺はそう言い謁見の間を逃げるように出る。
そう言やぁこの城の転移妨害結界って、俺が最初に張ったとき以来張り直して無いんだよな。
ついでに更新していくか。
俺は城の外に出て、敷地のちょうど中心辺りに立つと両手を上に上げて、複雑な魔術陣を広範囲に展開していく。
防御系や妨害系は、魔術陣を複雑に均等に組み上げれば強力になる。
ユリト「よっと。」
そしてできたてほやほやの魔術陣を上空に放つ。
そうすると妨害結界にぶち当たり、徐々に染み込んで行く。
ここまで強化すれば俺以外は、転移で入れないだろうな。
ユリト「お疲れ様。」
俺は門番に労いの言葉をかけて帰路につく。
西の空は赤く染まり、東の空からは暗闇が迫っている。
最初の内は小さな問題が多かったが、時がたつにつれて大きな問題が出てきた。
今の段階では、他の異世界者だな。
話によると各地で異世界から来た黒髪黒眼が暴れているらしい。
おかげで黒髪黒眼の人間は、危険種族として見られてしまった。
一部は良心的なんだけどね…
アルデに殺された『男』は後者だろうな。
そーいやーアルデの事忘れてた。
あいつも問題と言やぁ大問題だよな。
こうして屋敷に戻った後もえもいわれぬ不安に駆られ、一晩中起きていた。
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