海だ~!!海水浴だ~!!特訓だ~!!

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ミア…side グロークもこれくらい大きかったのだろうか? クリクは完全にユリトがいた居たはずの椅子を潰し、長い尾の先は海に浸かっている。 ミア「ユ!ユリト!聞こえるか!? クリク!早くそこ退いて!」 クリク「う、うん…」 クリクがその巨体を上げると無残な姿のユリトが地面にめり込んでいた。 ミア「ユリト!」 私は陥没した穴に飛び降り、ユリトを抱き起こす。 ミア「ユリト!しっかりしろ!」 ユリト「儚き人生かな…ゴフッ!」 まずいな。折れた肋骨が肺に刺さっているらしい。 抱き起こした時にユリトの口から鮮やかな血が流れ出す。 ミア「何言ってるんだ!しっかりしろ!」 私はユリトを抱き上げ、取り敢えず陥没した穴から飛び出る。 ユリト「いたたたた!ミア運ぶならゆっくり運んで!」 ここまでなって正気で居られる方がすごいと思うぞ? とにかく肺に刺さった骨をどうにかしないと… でもどうやって? 私はユリト服を裂き胸を見る。 胸は形を崩し、所々骨が皮膚を貫き、紫に変色していた。 早く治療しないと… ミア「どうしよう…」 骨を抜かないと肺は完全な治療も出来ないし、あばら骨を元の位置に戻さないと… でもどうやって? ユリトに我慢してもらうか? ダメだ! 私は頭に浮かんだ考えをかき消すように頭を激しく横に振る。 そして自分の無力さに情けなく、目頭が熱くなる。 ユリト「ミア。大丈夫。」 ミア「どこが大丈夫なんだ…」 クリク「ゆりと… うぐっ… えっく…」 なんでユリトは笑ってるんだ… ユリト「お前ら泣くなよ。 響くんだから…」 ユリトは不安定ながらも魔術陣を展開する。 ミア「うぅ…ユリト…」 私はぐっと涙を殺し、泣かないように必死に堪える。 ユリト「よし…」 出来上がった頃にユリトは魔術陣を自分の体に打ち込む。 ユリト「ギッ!」 ミア「ユリト!」 その瞬間ユリトの顔は苦しく歪み、ユリトの胸が形を戻していく。 ユリト「ふぅ…いてて…」 ユリトはゆっくりと体を起こす。 先ほどと違いかなり顔色が良い所見ると回復したらしい。 早すぎだろ… クリク「ゆりとぉ…」 ユリト「ク、クリク!落ち着け!」 あっ。 ヤバい… 私は急いで両耳を手で塞ぐ。 クリク「きゅあああぁぁぁ!」 ユリト「おわぁ!」 地面を揺るがす轟音。 上から大粒の涙がこぼれ落ちる。 もはやこの泣き声は兵器とも取れる衝撃波を発生させている。
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