海だ~!!海水浴だ~!!特訓だ~!!

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そして丁度ソティーの目の前に来た頃に崖の上に顔を上げる。 ユリト「よっ。」 ソティー「きゃあ!」 どうやら顔をうずめていた訳ではなく、虚ろに海を眺めていたらしい。 顔を出したらソティーと目があったのだ。 ソティーから見れば、崖の下から首が生えた状態になるからね。 ソティー「なにしてるの!」 ソティーは目を丸くして、荒い息を吐いている。 かなり驚いたみたいだね。 俺は崖をよじ登りソティーのとなりに座る。 ユリト「はぁ疲れた。」 かなり無理な体制でただでさえ消費のでかい重魔術の応用だったから結構しんどい。 しかもソティーの拷問を受けた後だよ? ソティー「何?」 ソティーは俺から少し離れると顔を背ける。 子供がよくやる行動の1つだね。 わざと離れるような事やっといて、実際はもっと自分を見て欲しくて、構って欲しくてそういう行動をとる。 ユリト「ソティーの事構いに来ちゃった。」 俺はそう言うとソティーに覆い被さるように抱き付く。 分かってる… 何も言うなよ? やってる本人も結構恥ずかしいんだから… ソティー「ちょっ!ユリト!」 ユリト「構って欲しいなら言え。 そん時は鬱陶しいくらい構ってやるから。」 途端に静かになるソティー。 そしてこちらをゆっくりと伺う。 そうすると、少し動けば唇が触れてしまう距離になった。 徐々に涙が溜まるソティーの深蒼の瞳を俺は静かに見つめた。 ソティー「ユリトはズルい。」 不意に口を開くソティー。 ユリト「なんで?」 ソティー「なんでもお見通しなんだもん…」 ユリト「お前が分かり易いだけだよ。」 俺は頭をずらし僅かにソティーに近付ける。 ソティー「んっ…」 熱いソティーの唇が触れ、ソティーを抱き締めている腕で、体が熱を帯びていくのを感じた。 もしかすると熱を帯びていたのは自分かもしれない。 俺は後になってそう思った。 長いキスの後、名残惜しく唇が離れる。 ユリト「みんな待ってる。」 俺は背中に回されたソティーの腕を優しく解きながら言う。 いくらなんでもこれはまずい。
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