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オグレ「ふぅ~…
ぐぁ!」
オグレは陣を組み終わると、あろう事か自分に陣を打ち込んだ。
陣の定義は魔術を顕現する為に使われ、いわば魔術と術者の媒体だ。
自分の体に打ち込めば自分の魔力で自分を傷付けてしまうし、なにより内側から破壊される。
自己強化の魔術でさえ、体に『貼り付ける』のだ。
違いが分かるかな?
とにかくオグレがやった事は自殺とさして変わらない。
あっ。俺は例外だよ?
オグレ「ああああ゙あ゙あ゙あ゙!」
魔力がオグレの体中を駆け巡り、そしてオグレの体は一瞬にして爆炎に包まれる。
ユリト「チッ!」ザバー!
ジュアー…
すぐさま大量の水を浴びせるが、消える気配は全くない。
それどころか水が全て蒸発してしまった。
流石にかなりヤバいだろ!
そして爆炎を纏ったままオグレは口を開いた。
オグレ「使いこなさなきゃな…」
オグレは凄まじい勢いで迫る。下手すればウェルと同等のスピードだ。
そして眼前に迫った事、オグレは火炎を纏った斧を振り下ろす。
ガアン!
っ!重い!
ユリト「火炎を纏う…
いや火炎と同化する魔術か…」
よくゲームとかでもあるが、実際は禁忌魔術に近い。
この世界には禁忌魔術の定義はないが、とにかく術者自身が死に至る魔術だ。
ユリト「オグレ!
もういい!死ぬぞ!」
まさかこんなに危険な魔術だったとは予想外だ。
何としても止めさせないと…
オグレ「ヒュー…
ヒュー…」
この炎実際に酸素を消耗してるのか!
炭素と酸素を燃料に燃える本物の炎と違って、魔術の炎の燃料は魔力のみだ。
酸素を使ってるならオグレ自身が燃えている事になる。
これはいよいよマズい事になったぞ?
オグレの体の中にある陣を破壊するか…
しかし考えている途中もオグレの猛攻は止まらない。
ユリト「っ!オグレ止まれ!」
オグレ「ヒュー…
ヒュー…」
理性が飛んでやがる!
しゃあない…
俺は耐熱対魔性の高い世界最高峰の金属「ミスリル銀」でオグレを拘束する。
空間に固定されたミスリルの拘束具たちに抑えられ、オグレは全く身動きが!
ジュウ…
まじかよ…
ミスリル銀の融解温度を超えてるのかよ…
ミスリルの拘束具は熱で柔らかくなりぐにゃりと変形していく。
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