叛逆の狼煙

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やっぱりナバルツの城下は活気があって良いですね。 私は明かりが灯りつつある街中を歩きます。 そういえばお裁縫をする道具って、どこで売ってるんでしょう? 「あれ?ソティーさん。 旦那はどうしたんですか?」 急に見知らぬおじさんに話し掛けられました。 顔が知れているためこんな事はしょっちゅうです。 ソティー「えっ?旦那って…」 もしかしてユリトの事? ソティー「わわわっ!違います! まだユリトとはそんな関係じゃありません!」 そう。まだです。まだ… 「あれ?ソティーちゃん。 まだユリト様に告白して無かったんかい?」 ソティー「ちょっ!なんでおばちゃんがここにいるの!?」 この人はユリトに引きずられてよく行った酒場の女将さんです。 もう開業の時間ですからここにいる筈は無いんですが。 「あっはっはっ。 いやね。あたしとしたことがパッツを切らしててね。 急いで買い出しに出かけたところだよ。」 パッツとは木になる実の種の総称です。 だいたいは種の堅い殻を割って、中の柔らかい身を塩で煎って食べます。 あっ。おばちゃんに聞いてみましょう。 ソティー「おばちゃん。 お裁縫の道具ってどこに売ってるか分かりますか?」 「ソティーちゃんお裁縫するの?」 ソティー「はい。何か1つでも出来るのあったほうが良いかなぁって。」 「まぁ。 お裁縫は嫁入りに必要な技だからねぇ。」 ソティー「うぅ…」 いい加減熱くなってきました。 私は恥ずかしさのあまり俯いてしまいます。 「あっはっはっ! ソティーちゃん可愛いねぇ。 針と糸切り、裁断鋏は雑貨屋だね。 布や糸は織物屋に行けばあるよ。」 ソティー「あ。はい。 ありがとうございます。」 私はお礼を言うとそそくさとこの場を後にします。 ゆっくりしてたら茶化してくる人が絶対いるので… 「初々しいわねぇー… あたしも10年若けりゃねぇ…」 「「「あはははは!」」」 「今の旦那はどうすんだよ。」 「んなもんあたしが知るもんですか!」 「「「あはははは!」」」 「旦那聞いたら泣くぜぇ?」 「「「あはははは!」」」 私はそんな元気な会話が遠ざかる中、手頃な雑貨屋を探します。 ソティー「すみません。 裁縫道具一式ください。」 「はいはい。」 私はとりあえず針と糸切り、裁断鋏を買いました。 雑貨屋さんって本当に色々な物売ってますよね。 そういえば私のペンのインクがそろそろ切れますね。 ついでに買っておきましょう。
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