叛逆の狼煙

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ユリト「分かった。客間にお通ししろ。」 ユリトはそう言うと私に目配せをして立ち上がる。 一緒に来いと言う事なのだろう。 ウェル「私は戻る気は無い。」 私はそう自分の決意をユリトに伝えてから立ち上がる。 ユリトは分かってると言い、食堂を出る。 レイヤン「お前も親不孝だな。」 ウェル「これだけは絶対に譲れないんです。」 私は笑ってそう言うレイヤンさんに答え、ユリトの後をついて行く。 ミア「お前も?」 レイヤン「あぁ。 一家心中しようとした両親を殺した。」 ソティー「えっ?」 アリン「私たちの居場所は無かったもんね…」 去り際にとんでもない事を聞いてしまったな… 私はとりあえず廊下を歩くユリトに追いついた。 ユリト「マラサード家も貴族政だったな。」 ウェル「あぁ。 だが私は両親と縁を切った。 今更来たって遅い。」 今の私の居場所は国直部… ユリトの側だけだ。 それを脅かすなら… 私たちは先に客室に入り、2人を待つ。 暫くすると感じ慣れた気配が案内の執事と共に近付いてくる。 かちゃ ユリトは扉が開くとすぐに立ち上がる。 そして2人が入って来ると一礼。 私もそれに習う。 そう。この2人は『客』なのだ。 ユリト「よくおいでなさいました。 ご用件をお聞きします。」 「ああ。 用件は我が娘の事だ。 ウェル… 随分と他人行儀だな。」 私に向かって目を細めて言う姿は不機嫌そうだ。 ウェル「私とあなた方とは縁を切りましたゆえ、お客様として迎えさせて頂きます。」 「ふぅ… 本当に貴方お父さんにそっくりね。」 小さい頃もよく言われたな。 堅物だって。 ユリト「とにかくどうぞお座り下さい。」 2人は私たちとは反対側の椅子に座り、私たちも一呼吸置いてから座る。 そうすると即座に横からお茶とちょっとしたお菓子が出てくる。 ユリト「では詳しいご用件を。」 「まずユリト・アツカマ殿にはウェルを国直部から除隊させて欲しい。 ウェルにはマラサード家に戻ってきて欲しい。 お前は我が家唯一の子孫なのだからな。」 やはりか… 私は決して両親が憎い訳ではない。 むしろ好きだ。 だがそれ以上にユリトを愛している。 ウェル「私はマラサード家に戻る気はありません。 私の居場所は此処です。」 だからこそ私は両親と決別し、ユリトのもとへきた。 遠くない未来で迷わないためにも…
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